大塚系れとろ看板

大塚製薬さん、大塚化学さん、大塚食品さん、アース製薬さんの大塚グループは、タレント写真入りのホーロー看板を数多く作られました。
浪花千栄子さんの「オロナイン軟膏」 撮影地:富山県
「オロナイン軟膏」は昭和28(1953)年発売。大塚製薬さんの大衆薬第一号でした。成分の変更にともない、昭和44(1969)年に「オロナインD軟膏」と改名。現在は昭和47(1972)年からの後継商品「オロナインH軟膏」が発売されています。大塚製薬さんは大正10(1921)年、大塚製薬工場として創立。四国の徳島から発展しました。浪花千栄子さんは当時、任侠映画や小津安二郎監督の作品などに多数出演されていた女優さんです。
「オロナイン軟膏」丸型 撮影地:徳島県
オロナインの文字がクロスして書かれている珍しいバージョンです。
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美肌・外傷・皮フ病に「オロナイン軟膏」特約店 楕円型 撮影地:静岡県

大村崑さんの「オロナミンC」(初期バージョン) 撮影地:兵庫県(展示品)
大塚製薬さんの「オロナミンC」は昭和40(1965)年発売。大村崑さんは発売当時からのイメージキャラクターです。この看板は壁に対して垂直に取り付けるフランジサインで、表裏のコピーが違い「元気ハツラツ!」と「おいしいですよ!」となっています。この看板は初期のバージョンで、崑ちゃんの顔にしわが多く、体が少し左向き、栓が抜かれている、社名が大塚化学という特徴があります。
大村崑さんの「オロナミンC」(初期・黄金バットバージョン) 撮影地:和歌山県
初期バージョンの一種「黄金バット」のイラストが入った一枚です。「黄金バット」は昭和42(1967)〜43(1968)年に、読売テレビ・日本テレビ系列で放送されたアニメです。土曜日の19時から30分、大塚製薬さんの一社提供でした。
大村崑さんの「オロナミンC」(中期・巨人の星バージョン) 撮影地:愛媛県
この看板は中期のバージョンで、体が少し左向き、栓が王冠、社名が大塚製薬となりました。中期には大塚製薬さんがCM提供していたアニメのキャラクター入りのものが多く、この看板には「巨人の星」の星飛雄馬が描かれています。「巨人の星」は昭和43(1968)〜46(1971)年に、読売テレビ・日本テレビ系列で放送されたアニメです。
大村崑さんの「オロナミンC」(中期・アタックNo.1バージョン) 撮影地:群馬県
同じく中期の「アタックNo.1」バージョンです。「アタックNo.1」は昭和44(1969)〜46(1971)年に、フジテレビ系列で放送されたアニメです。日曜日の19時から30分の放送でした。
大村崑さんの「オロナミンC」(中期・天才バカボンバージョン) 撮影地:北海道(展示品)
同じく中期の「天才バカボン」バージョンです。「天才バカボン」は昭和46(1971)〜47(1972)年に、読売テレビ・日本テレビ系列で放送されたアニメです。
大村崑さんの「オロナミンC」(後期バージョン) 撮影地:北海道(展示品)
この看板は後期のバージョンで、体が正面向き、栓がスクリューキャップ、社名が大塚グループ・大塚製薬になっているものです。看板の総制作枚数は42万枚でした。
大村崑さんの「オロナミンC」小判型 撮影地:滋賀県(展示品)
小判型の看板もありました。巨人の星が描かれている中期のものです。
「オロナミンC」文字バージョン 撮影地:熊本県
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松山容子さんの「ボンカレー」透明パウチバージョン 撮影地:徳島県 (裏面)
「ボンカレー」は昭和43(1968)年発売。日本のレトルト食品第一号です。発売当時のボンカレーは、アルミ箔入りの白いパウチではなく、透明プラスチックパウチが使われていました。白い着物、透明パウチのバージョンは初代の看板で大変貴重なものです。この透明パウチには問題が多く、翌昭和44(1969)年には今のような白いアルミパウチに変わりました。大塚食品さんは昭和39(1964)年、カレーなどのメーカーだったシービーシー食品工業に大塚化学薬品が資本参加して誕生しました。
松山容子さんの「ボンカレー」 撮影地:福井県 大塚食品さんのページへ
ボンカレーの看板は昭和43(1968)年から昭和49(1974)年にかけて95,000枚作られました。食料品店などに看板を取り付けた際の謝礼はボンカレー3食でした。同時にその周辺の民家20軒にボンカレーのサンプリングを行ったそうです。営業マン1人の取り付けノルマは1日15枚だったとの事(資料提供:春川淳さん)。平成17(2005)年、後継商品「ボンカレークラシック」のパッケージは松坂慶子さんに変わりましたが、沖縄では今も松山容子さんの「ボンカレー」が発売されています。

強力殺虫剤「アース」「アース渦巻」蚊とりせんこう 撮影地:福岡県
水原弘さんの「ハイアース」小判型 撮影地:山形県(展示品) 由美かおるさんの「アース渦巻」小判型 撮影地:富山県
故・水原弘さんは昭和34(1959)年、「黒い花びら」で第1回日本レコード大賞を受賞された歌手で、その後も数々のヒット曲を出されました。しかし、昭和53(1978)年、肝硬変で死去。享年43歳でした。由美かおるさんはご存じの女優さんです。
水原弘さんの「ハイアース」角型 撮影地:宮崎県 由美かおるさんの「アース渦巻」角型 撮影地:広島県
アース製薬さんの前身は明治25(1892)年創業。昭和4(1929)年には家庭用殺虫剤「アース」を発売。昭和15(1940)年に蚊取線香「アース渦巻」を発売しています。その後、昭和45(1970)年に大塚グループの一員となりました。ワンタッチキャップのエアゾール「ハイアース」の発売も同年です。これらの看板はその後の昭和40年代後半に製作されたもので、北海道を除く全国に分布しています。

水原弘さんの「ハイアース」長方形 撮影地:愛知県(展示品) 水原弘さんが笑っているのは西日本バージョンなのだとか。

ホイホイとれる「ごきぶりホイホイ」 撮影地:岐阜県 アース製薬さんのページへ
「ごきぶりホイホイ」もアース製薬さんが生んだ大ヒット商品の一つです。昭和48(1973)年に発売されました。


参考文献:泉麻人著「街のオキテ」新潮文庫刊、「食品と化学」(1998.1〜3)食品と化学社刊
「れとろ看板写真館」本館に戻る 2014年1月19日(「オロナミンC」2点追加)