清酒系れとろ看板(中部編)


静岡県

「力正宗」45ウイスキー 東京都:合同酒精 撮影地:滋賀県 東洋醸造さんが静岡県大仁町(現・伊豆の国市)で作っていた合成酒です。看板は必ず同社の「45ウイスキー」と対になって貼られています。平成4(1992)年に旭化成さんと合併後、平成15(2003)年に合同酒精さんへ日本酒事業を譲渡しました。
今評判のうまい酒「曽我鶴」 静岡県掛川市:曽我鶴・萩の蔵酒造 撮影地:静岡県
もともと曽我鶴は慶応3(1867)年創業の掛川の酒蔵でしたが、平成10(1998)年に休業しました。その蔵を平成16(2004)年に新オーナーが買い取り「曽我鶴・萩の蔵酒造」として再開しました。
高級清酒「粋君」(遠州酒造バージョン)
高級清酒「粋君」(平喜捌バージョン) 静岡県掛川市:遠州酒造(廃業) 撮影地:静岡県
看板にある「平喜」とは静岡県の大手酒類問屋さんです。「粋君」の卸を一手に扱われていたのでしょう。静岡の平喜さんと、岡山の平喜酒造さん(「新婚」などの蔵元)とはグループ企業です。
清酒「日本勢」 静岡県天竜市(現・浜松市):中部醸造(廃業) 撮影地:静岡県

愛知県

清酒「四海王」 愛知県豊橋市:福井酒造 撮影地:愛知県
風でくるくる回る回転式の看板です。

醇良清酒「玉桂」 愛知県設楽町:関谷醸造 撮影地:岐阜県
元治元(1864)年創業、奥三河の蔵です。現在は「蓬莱泉」の銘柄で全国的に人気となっています。

高級清酒「長譽」 愛知県岡崎市:丸石醸造 撮影地:静岡県
元禄3(1690)年創業。「長譽(長誉)」は明治33(1900)年、西宮に灘工場を建てた時からの銘柄です。他に「三河武士」などの銘柄を販売。

優等清酒「賜冠」・高級清酒特選「賜冠」 愛知県豊田市:中垣酒造 撮影地:愛知県(展示品)

酒は「シキシマ」(横型)
清酒「敷嶋」シキシマ(縦型) 愛知県半田市:伊東合資会社(休業) 撮影地:静岡県(2枚とも)
天明8(1788)年創業。半田市亀崎の蔵元でしたが、平成12(2000)年頃に休業。看板は隣県の静岡県遠州地方まで広く分布していました。

清酒「セカイジメ」 愛知県半田市:半田醸造(廃業) 撮影地:愛知県
漢字表記だと「世界〆」となります。かつてはたくさんあった知多半島の銘柄の一つです。

高級清酒「知多鶴」 愛知県半田市:知多酒造(廃業) 撮影地:静岡県

酒ハ「神の井」トテモヱー 姉妹品・宮の井 名古屋市緑区:神の井酒造 撮影地:岐阜県
「トテモヱー」というキャッチコピーが衝撃的な看板です。名古屋弁をそのまま文字化したのでしょうか?神の井酒造さんは安政3(1856)年創業。名古屋市大高の酒蔵です。酒銘は熱田神宮の井戸にちなんだもので、神宮の御神酒になっています。

うまい酒「清正」 愛知県半田市:田中酒造(廃業) 撮影地:静岡県
お酒は断然「子の日松」 名古屋市中区:盛田(株) 撮影地:愛知県(展示品)
寛文5(1665)年、常滑で創業した老舗で、ソニーの創業者・盛田昭夫氏の実家としても知られる盛田さんの銘柄です。正月最初の「子」の日に小さな松を根引いて長寿延命を願う風習から名づけられました。昭和49(1974)年、銘柄を「ねのひ」と簡略化して現在に至ります。
高級清酒「幸娘」 愛知県東浦町:野村酒造 撮影地:愛知県(展示品)
江戸時代、知多半島で作られたお酒は「知多酒」として有名で、三州廻船で江戸に送られていました。半田、亀崎とともに東浦も知多酒の主要な産地でした。全国的に淡口のお酒の多いようですが「幸娘」は伝統的な濃くて深みのある味を守り継いでいます。
清酒「公楽」 愛知県豊橋市:伊勢屋商店 撮影地:愛知県
清酒「御室櫻」特約店 愛知県安城市:神杉酒造 撮影地:愛知県(展示品)
文化2(1805)年創業。三河地方の老舗です。「御室櫻」は主要銘柄「神杉」に次ぐ第2の銘柄のようです。

岐阜県

酒は「いとう鶴」 岐阜県恵那市:いとう鶴酒造 撮影地:岐阜県 恵那市竹折で江戸時代から続く酒蔵でしたが、平成18(2006)年に廃業。
酒は「春楽」 岐阜県八百津町:山田商店 撮影地:岐阜県 明治元(1868)年創業。現在の主力銘柄は「玉柏」です。
酒ハ「金花水」 撮影地:岐阜県 こちらも山田商店さんの銘柄。ちょっと傾いた「酒ハ」の文字が看板の印象を明るくしています。
酒ハ「春楽・金花水」 撮影地:岐阜県 上の2つの看板をデザインそのままで1枚に合わせてしまったような看板です。
清酒「烏峯泉」 岐阜県可児市:伊藤酒造 撮影地:岐阜県 可児市兼山の酒蔵。当地の城主だった森蘭丸にちなんだ銘柄「蘭丸」に注力。
天下の銘酒「烏峯泉」ウホウセン 撮影地:岐阜県 蔵は平成13(2001)年に廃止された名鉄八百津線の沿線にあります。
清酒「富輿」 岐阜県可児市:林酒造 撮影地:岐阜県 明治7(1874)年創業。現在の主力銘柄は「美濃天狗」です。
酒は「御代櫻」 岐阜県美濃加茂市:御代桜醸造 撮影地:岐阜県 明治26(1893)年創業。中山道大田宿の蔵元です。
酒ハ「御代櫻」 撮影地:岐阜県 御代櫻の青い横縞バージョンです。デザインが日本酒にとてもよく似合う感じがします。
酒ハ「榮櫻」 撮影地:岐阜県 御代桜醸造さんの別銘柄です。赤い横縞が御代櫻と対になっているようです。
酒は「菊川」 岐阜県各務原市:菊川(株) 撮影地:岐阜県 明治4(1871)年創業。中山道鵜沼宿の酒蔵です。
酒は「喜久川」 撮影地:静岡県 普通酒の「菊川」と、合成酒の「喜久川」とで、ブランドを使い分けていたようです。
灘の生一本「菊川」 撮影地:長野県 菊川さんは昭和32(1957)年から平成10(1998)年にかけて灘にも蔵を持っていました。
酒は「兄花」 岐阜県大垣市:竹内酒造 撮影地:岐阜県 延亨元(1744)年創業。現在の主力銘柄は「美濃紅梅」です。
清酒「千代乃花」 岐阜県大野町:杉原酒造 撮影地:岐阜県
酒王「金泉」 岐阜県川辺町:平和錦酒造 撮影地:岐阜県
嘉永3(1850)年創業。川辺町下麻生の酒蔵です。JR高山本線の車窓から雰囲気ある旧街道が見えます。
銘酒「ダルマ正宗」 岐阜県岐阜市:白木恒助商店 撮影地:岐阜県
銘酒「だるま正宗」 撮影地:岐阜県
天保6(1835)年創業。古酒に力を入れる岐阜市門屋門の酒蔵です。明治24(1851)年の濃尾大地震で酒蔵が倒壊し、そこからの再起を願い七転八起の「達磨正宗」と命名されました。左の看板に「山縣」の文字がありますが、蔵がある地域がかつて山県郡に属していた事を示しています。現在は岐阜市域です。

日本人のお酒「老松」 岐阜県北方町:柴田酒造 撮影地:愛知県(展示品)

清酒優等「山車」 岐阜県高山市:原田酒造場 撮影地:岐阜県
安政2(1855)年、高山の城下町「三之町」で創業。現在では酒蔵が街並みの重要な一部分となっています。酒銘「山車」はもちろん高山祭りの山車にちなんだものです。

「積翠・白雲」 岐阜県郡上市:平野本店 撮影地:岐阜県 昭和8(1933)年創業、水の町・郡上八幡の蔵元です。


三重県

清酒「きげんよし」 三重県津市:今村酒造 撮影地:三重県
万延元(1860)年創業。津市香良洲町の酒蔵です。
酒は「八千代」
清酒「八千代」 三重県津市:小川本家 撮影地:三重県 提供:水谷覚さん(2点とも)
明治元(1868)年創業。旧・河芸町の酒蔵です。
清酒「高砂鶴」 三重県松阪市:中川酒造場 撮影地:三重県
清酒「春信」はるのたより 三重県名張市:松山酒造場 撮影地:三重県
名張市蔵持町に蔵があった松山酒造場さんの銘柄です。看板では「山本醸」となっていますので、もともとは別の蔵の銘柄だったのかもしれません。松山酒造場さんの代表銘柄は「東海松」。その「東海松」の看板を撮影に行ってみたのですが、残念ながら同社は移転直後のようでした。建物はお寺の倉庫などに転用されており「東海松」の看板は哀れ地面に打ち捨てられていました。

純良清酒「カグラ」 三重県四日市市:神楽酒造 撮影地:三重県 提供:水谷覚さん 安政5(1858)年創業。四日市市室山町の酒蔵です。

清酒「日本華」 三重県四日市市:伊藤酒造 撮影地:三重県 提供:水谷覚さん 弘化4(1847)年創業。四日市の酒蔵です。

清酒「白米城/朝香」 酒は「朝香」 三重県松阪市:中山酒造 撮影地:三重県(2枚とも)
文政3(1820)年創業。「白米城」とは蔵の近くにある阿坂城の別名で、北畠軍が足利幕府軍との戦いでこの城に篭城した際、白米を流して水があるようにみせかけたというエピソードからついています。

醸出萬斛春「豪氣」 三重県多気町:油田醸造場(廃業) 撮影地:三重県
多気町(旧・勢和村)車川で江戸末期から戦時中にかけて酒造を行っていた油田醸造場の銘柄でした。戦時統制により松阪市の奥田酒造と合併。跡地は「油田公園」となっています。ユニークな酒銘『豪気』は「一日の仕事を終えた男が晩酌に一杯飲む酒」というイメージでつけられたとの事です。

清酒純良「鉾杉」 三重県多気町:河武醸造 撮影地:三重県

高級清酒「高砂」・銘酒「タカサゴ」 三重県名張市:木屋正酒造 撮影地:三重県
名張市本町の古い街並みの中にある酒蔵です。

優等清酒「旭金時」 三重県名張市:北村酒造 撮影地:三重県 天保8(1837)年創業。地ビール「伊賀流ビール」も製造しています。

清酒「若戎」 三重県伊賀市:若戎酒造 撮影地:三重県 嘉永6(1853)年創業。旧・青山町の酒蔵です。

清酒「寒紅梅」 三重県津市:寒紅梅酒造 撮影地:三重県 提供:水谷覚さん 安政元(1854)年創業。津市の酒蔵です。

清酒「宮川・夫婦岩」 蔵元不詳 撮影地:広島県(展示品)
酒銘から明らかに三重県のお酒と推測されます。三重県には森本姓の酒蔵も現存するのですが、この銘柄との繋がりについて確証が得られません。


富山県

清酒「三笑楽」 富山県南砺市:三笑楽酒造 撮影地:岐阜県
明治13(1880)年創業、合掌造りで有名な五箇山唯一の酒蔵。旧・平村の上梨地区にあります。

清酒 黒松「若鶴」 富山県南砺市:若鶴酒造 撮影地:富山県


石川県

清酒「福正宗」 石川県金沢市:福光屋 提供:星野信夫さん 撮影地:石川県
寛永2(1625)年創業。金沢ではトップブランドです。右下に描かれているのは横山隆一作「フクちゃん」です。フクちゃんが福正宗のキャラクターになったのは昭和37(1962)年。翌年には「フクちゃんフクマサもってきて♪」というCMソングができました。福光屋さんのサイトで当時のCMを見ることができます。
伏見清酒「福正宗」 撮影地:滋賀県
福光屋さんは、京都伏見にも支店(出蔵)を持っていました。この看板はその伏見バージョン。
伏見清酒「福正宗」 撮影地:愛知県(展示品)
伏見バージョンにも「フクちゃん」イラスト入り看板がありました。

清酒「鹿渡」 石川県七尾市:鹿渡酒造店 撮影地:石川県

清酒「天平」(横型)
優等銘酒「天平」樽詰・壜詰(縦型) 石川県七尾市:布施酒造店 撮影地:石川県


福井県

清酒「よしの盛」 福井県勝山市:中村酒造 撮影地:福井県
清酒「宇治川」 福井県勝山市:佐々木酒造 撮影地:福井県

清酒「一之谷」 福井県大野市:宇野酒造場 撮影地:福井県 元和5(1620)年創業。江戸時代から「麦屋の酒」として販売されてきました。

酒王「ゲンペイ」 福井県大野市:源平酒造 撮影地:福井県
延宝元(1673)年創業。当時から「万寿屋の酒」として販売されていましたが、大正初期に商標登録制度ができた時、登録漏れで改銘せざるを得なくなり「源平」となりました。

高級清酒「花垣」 福井県大野市:南部酒造場 撮影地:福井県 享保18(1733)年創業の金物屋でしたが、明治34(1901)年に酒造に参入しました。

清酒「わかさ富士・わかさ」 福井県小浜市:わかさ富士 撮影地:福井県
文久2(1862)年創業。福井県の若狭地方、小浜市の地酒です。もともとは鯖街道として有名な若狭街道・熊川宿が発祥の蔵。現在は「わかさ」の銘柄が主力商品となっています。

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